化学の勉強法

【基本事項】

 化学における基本事項は知識計算です.

 重要な反応や物質名,性質をしっかり覚えること,pHの求め方などの計算問題に習熟することが典型問題を解く条件になります.

 特に,東大化学では,典型問題の割合が高く,問題数が多いことが特徴ですので,典型問題の演習が決定的に重要になります.

 

【インプット】

 基本事項の効率的な習得ということならば,Z会の解法の焦点シリーズが最短距離になると思います.典型問題の知識と解き方に特化した薄目の本ですので,ざっとこなしてしまえばひととおりの問題には取り組む素地ができると思います.時間がないなら,この本から過去問に直行するのが最短だと思います.

 

 一般的な「参考書」については,辞書的に使用するほか,下記の洞察力を高める学習のために読み物として置いておくことをおすすめするので,後述します.

 

【基礎演習】

 化学ではやはり,数研出版の重要問題集が有名だと思います.計算問題の処理に関しては,ひととおり手を動かしておくことが重要ですので,理論分野だけはこなしておいてもよいかと思います.

 

【実践演習】

 やはりできるだけ早期に過去問に取り組むべきです.

 鉄緑会の過去問集などがあるので素材の入手には困らないでしょう.

 

 やってみると,設問自体は典型問題が圧倒的に多いことに気付くと思います.

 ただし,問題文の文章量が多く,問題数も多いので,何を聞かれているのか素早く理解し,計算に取り掛かることが求められます(化学的読解力).解答用紙が非常に狭いので,計算過程を要領よく欄内に収める訓練も必要です.

 

 現象の原因の考察や結果の予測をさせるなど,思考を要する設問が応用問題ということになります.

 これらについては,どのような知識が関係するのかを見抜いた上で(化学的洞察力),知識と与えられた情報を組み合わせて(化学的総合力,思考力),科学的な言葉で記述する必要があります(化学的表現力).

 これらのプロセスを意識して演習するとよいでしょう.

 

 理科全般に言えることですが,現象に対してどのような知識が関係するのかを見抜く力,すなわち,現象の本質を見抜く洞察力については,問題を解くだけでなく,普段からものの見方,考え方を涵養しておくことが重要です.

 日常生活や実社会の中で,科学的法則がどのような形で表れ,科学的知識がどのように使われているのかを知ったり考えたりしておくことで,この力が養われると思います.

 数研出版のチャート式,旺文社の総合的研究,三省堂の化学の新研究など,一般的な「参考書」では,コラムなどでこういったことについて扱っていることが多いです.私はこれら3冊を所有していましたが,どれか1冊を通読してインプットの学習をするのではなく,コラムなど面白そうなところだけを拾い読みしていました.なお,新研究については,高校範囲を超える内容の説明の仕方に賛否両論あります.高校範囲を超える部分については,興味があれば大学の教科書を読めばいいと思いますので,軽く読み飛ばせばよいかなと思っています.

 こうして知ったことをもとに,日常生活でも「二色火鍋の片方だけ沸騰しているのはなぜか」「洗面台の水垢を落とすにはどうすればいいか」など色々考えるようにしてみるとよいと思います.