司法試験受験生を取り巻く現状は,惨憺たるものです.
近年,司法試験をめぐる状況は大きく変化しています。法科大学院制度の影響もあってか,予備校各社もそのあり方を模索しているのが現状でしょう。
このような状況の中,受験生の間には玉石混交の教材が出回っています。実際,新興の予備校はもとより,かなり名の知れた予備校であっても,「一度売りつけてしまえばこっちのもの」と言わんばかりの内容の教材(ビデオ,テキスト等々)を発行しているのを目にすることがあり,私たちはきわめて遺憾に思っています。
新司法試験の問題が難しすぎるということもあってか,出題意図や事例の系統的な分析はほとんど行われなくなり,目にするのは,たとえば「法務省発表の出題趣旨と受験生の再現答案をただ掲載しただけ」といった教材ばかりです.
また,予備校各社は「当社の基礎講座,基幹講座をしっかり受講すれば司法試験で必要な知識はすべて含まれている」という勧誘文句で入会を勧めますが(ご存じのように,費用は100万円単位です),大抵のことは数千円の基本書を1冊持っていれば書いてあることであり,実際の司法試験で必要なのはどの知識をどこで使い,法曹としてどのように考えるかということなのですから,雑多な情報を詰め込んだ分厚いテキストを買ったところで何の意味もありません(売る側は承知の上でしょう).
各社生き残りが懸かっているのは理解しますが,一番困っているのは,何を信じてよいか分からなくなってしまう受験生ではないでしょうか。
司法試験とは,法曹の一員として迎えたい若者を選別する試験であり,そこには求める人材や考え方についての出題者のメッセージがあります。これを読み取らずに,いくら再現答案,予備校答案の真似をしても,合格からは遠ざかる一方です。
もちろん資格試験ですから毎年一定数は合格するわけですが,何を信じてよいか分からない現状では,受験生はほとんど「運任せ」の状態にあると言っても過言ではありません.
ところで,先ほど新司法試験は難しすぎると書きましたが,その内容をよく分析すれば,概して当該科目の全範囲にわたって様々な事項を考えさせる良問が揃っています.
極論すれば,新司法試験の問題1年分を選んでじっくり研究すれば,それだけで合格レベルを優に超えられると言ってよいほどです.
しかし,それには,問題の事例に即して,関連する事項を徹底的にリンクし,様々な角度から分析する作業が必要であり,1問を理解するのに何日も,何週間もかかる(結果的に,当該科目のあらゆる範囲を見渡すことになる)というものです.
私たちは実際そうして時間をかけて過去問を分析していますが,問題を作成する方も1年をかけて作成しているわけですから,当然のことではないでしょうか.
時折,新司法試験は出題趣旨が詳しいから分析などしなくても書けるとおっしゃる方がおられますが,やってみればわかるように,出題趣旨は問題の紹介の部分が多く,各設問の検討内容はあえて幅を持たせたり,一例のみを挙げる形で書いてあるため,このとおり答案を書いたとしても,表面的に設問をなぞっただけのほとんど内容のないものになってしまうでしょう(そして,残念ながらそういう「模範答案」を度々見かけます).
司法試験に合格しようというのですから,その目標である司法試験問題を分析することは当然のことです.
しかし実際には,ほとんどの受験生は,時間を計って解き,予備校の解答と照らし合わせて終わり,という程度でしょう.
分析といっても何をしてよいか分からないという方も多いと思います.
たしかに,普段から法律を使っているというのでないと,事案の分析といっても何を言っているのかよくわからないかもしれません.
そこで,私たちは,個別指導を通じて,1問の問題から色々な知識に考えをめぐらせ,様々な角度から光を当てるという作業を受験生と一緒に行い,追体験してもらうことで,その技法を身に着けてもらおうとしています.
個別指導により,一人でも多くの受験生が道を踏み外さないよう,適切な方向を示すことを目的としています。
そのために,主として過去の試験問題を用いて,受講生が事前に起案・送付した答案をもとに議論して行くことを通じて,法曹として持っておくべき知識とともに,法律家としての物の考え方や,法律文書の作成方法を指導していくというスタイルを基本としています。
誰が作成したかも分からない採点表に従って点数を出し,当たり障りのないコメントをつけて指導が終わるということは決してありません。
やってみると「そういうことか」と分かると思います.
私たちには別途弁護士としての仕事があるため,にわか作りの教材を売りつける必要もありません。また,単価を高く設定する必要もありません(本気の方にのみ指導させて頂きたいので,最低限の報酬は頂きます。)。
予備試験コース・司法試験コースともに,試験問題に秘められたメッセージを伝え,私たちの後輩になってもらいたいという純粋な思いで徹底指導しますので,全力でぶつかってきてください。
反対に,特に本気で法曹を目指しているわけではなく,とりあえず楽をして受かればいいという方には,指導をお断りさせていただいています。
あまりこういうことは言いたくないのですが,こういったサイトを運営していると,そういった姿勢の方も一定数いらっしゃいます。そういう生き方を全否定するわけではありませんが,「教材を買えば先生が合格させてくれる」というような消費者的,受動的な態度の方に教えられることは何もないからです。
志を高く持ち,主体的に勉強する姿勢で頑張ってください。